『長崎の鐘』(大庭秀雄)

The Bells of Nagasaki/JP

おそらく原爆を描いた映画としては戦後最も古いもののひとつ。GHQの占領下、あくまで永井の伝記映画としてつくられている。原爆投下は、水蒸気のようなキノコ雲があがるのみで、壮絶な地獄絵図の描写はまったくない。真正面から原爆を描く映画は『長崎の鐘』の脚本も手がけた新藤兼人の『原爆の子』(1952)まで待たなくてはならない。『ゴジラ』はそのさらに2年後。脚本家に橋賀寿賀子が名を連ねているのには驚いた。当時25歳。松竹入社後、最初の仕事だったという。