『舞妓はレディ』(周防正行)

Lady Maiko/JP

周防正行久々の正統派娯楽作。豪華なセット撮影や的確なカメラワーク、俳優たちの堂々とした演技にはかつてあった日本映画の「豊かさ」の復興が垣間見える。わけても主演の上白石萌音の若さと魅力はずば抜けていて、周防自身が上白石に完全にほれきっているのがありありとわかるという…。田舎から出てきた純朴な娘を洗練された京都の女に仕立てようとする言語学者長谷川博己)の姿は間違いなく、無名の少女を自分色に染め上げスターにしたいという周防のピグマリオン的な欲望の表れであり、その願望を成就させたのがあのラストカットということになるのか…。『舞妓はレディ』で周防が近接しているのはキューカーよりヒッチコックだろう。