『スキャンダル・シート』(フィル・カールソン)

Scandal Sheet/JP

サミュエル・フラーが犯罪ジャーナリスト時代の経験をもとに書いた小説「ダーク・ページ」を映画化。フラーの徴兵時代の経験を基にした『最前線物語』には、自分の本を読んでいた兵士に酒をふるまい「それは俺の本だ」と告白する場面がある。それが「ダーク・ページ」だった。新聞社の敏腕編集長が、会社主催の大合コンでかつての妻と再会し殺害してしまう。事故に見せかけるが、頭の切れる部下の記者が殺人の疑いがあると見破り、やむなく1面トップにしてしまう…。事件の核心に迫っていく記者と編集長の駆け引きが普通の事件記者ものと一線を画していて面白い。DVD付属の解説によれば、自分が手塩をかけて育てた部下の目覚ましい活躍が自分を追い詰めていくアンビバレンツな感情が描かれていて、そのあたりの魅力はかなりスポイルされているようだ。もともとはホークスが映画化権を持っていたが実現せずに売り飛ばし、カールソンがメガホンをとることになった。ホークスが撮っていればA級予算で撮られ、映画史に残る傑作となっていたかもしれない。ヒロインのドナ・リードが美しい。